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one.
一秒一秒と時が流れ、それと共に、人や街も変わってゆく。
これだけは避けることができない。そう。時間。
ありとあらゆる存在に、時は刻まれてゆく。

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自分「もう抗がん剤は使いたくないんです。」
先生「その場合、どうなるかは自分で想像できる?」
自分「・・・・・もちろん。」

CT、MRIと検査を行い、後頭部のリンパ節に転移の所見。
他のリンパ節にも転移があり、すでに、骨をも浸食していた。
先生「正直、なんとも言えません。大事なのは、あなたの気力です。」

強烈な身体の痛み、頭痛、微熱、吐き気。
あきらめたくなる。全てを投げ出して、正直、自殺も考えた。
たくさんの人のおかげで、今ここにいられるのに。



「ぼくは口が裂けても、アキラメロなどとは言わない。」



ふと、言葉が浮かんだ。そう。岡本太郎の言葉。
自分の中で、何かが吹っ切れた。
余命とか、そんなの関係ない。確かなのは「今生きてる」それだけ。

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7月10日・・・・・私の誕生日。
また、1つ時間が、自分に刻まれる。
今年の誕生日は、ベットの上で迎えることになった。

今は、まともに話ができない。
だから、ナース、先生とは筆談で会話をしている。
言葉では一瞬で終わることが、紙に文字を起こすということが1日に何十回とある。

ある日、思った。
「紙がもったいないし、書いた紙を相手に見えるようにしなきゃいけない。
 そして、相手も返事を書く。それを自分に見えるようにしないといけない。」

筆談ツールが欲しい。

「iPadが欲しい。」
今までは、欲しいとも思ってなかったけど、今の状況になって、良く分かる。
横になっていても、ある程度の作業ができ、スペースを取らず、持ち運びも便利。

なによりも、iPadには、「筆談パット」というアプリがあって、
自分が書いた文字が、同時に相手側にも見えるように書かれてゆく。
そして、一瞬で消して、相手が書いた文字が、自分に見えるように書かれてゆく。

いいなぁ。欲しい。すごく欲しい。
心からそう思った。
強く強く、心の奥底から。

いつものように、親戚がやってきた。
親戚「はい。これ、今日届いた荷物だよ。なんだろうね。」
自分もなんだか分からなかった。

すぐに開けてみたら・・・・・
中にあったのは、iPad。
「未来からこれを送ります。少しでも元気になるように。」というメッセージと共に。

嬉しくて嬉しくて、もう言葉にならない。
決して、安いモノではないし、いろいろ大変なのに。
このタイミングで贈れるように、いろいろと考えてくれてたんだね。

また、1つ大切なモノが増えた。
自分にとっては、かけがえのないモノ。
大切に、大切に使ってゆくよ。



どうもありがとう。

100710 | one. | comments (3)

live.
キモチを言葉にして、伝えようとしても、何分の一も伝えられない。
相手に届いた瞬間、その言葉は何重ものフィルターにかけられ、
本当の「意味」が、心の奥底へとうっすらと消えてゆく。

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先生「いつ、どうなってもおかしくない状態です。」
自分「わかっています。」
いや、本当は、わかりたくない、心を閉ざして、何もかも捨てたかった。



抗がん剤を使用しなければ、すでに今ここにいない。
副作用で、すべて抜け落ちた髪の毛。
吐き気、微熱、眩暈、身体の痛み。

心の悲鳴が、静かに、深く深く・・・・・こだましていた。



「た・す・け・て・・・・・」



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私は、今も肌身離さず、24時間どんな時も、手術の時も身につけている、
ランス・アームストロングが発足させた、「LIVESTRONG」のリストバンド。
1つを、院内で知り合った乳がんの人にプレゼントした。

だけど、その人はもういない。
残ったのは、その人が最期まで身につけてくれていた、このリストバンド。
何か役に立てたのかな。私は私にできることを、その人にしてあげられたのかな。

院内で、いろいろな人と知り合った。
こんなにまで世の中が、そして医学が発達しても、まだ未知なる手の届かない神の領域がある。
どれだけ優秀な先生でも、どれだけのお金をつぎこんでも、どれだけの機材が揃っていたとしても。

みんな「そのリストバンド欲しいな。」って、言ってくれた。
あげたいけど、なかなか自分も自由が利かない。親戚も多忙を極め、これ以上頼めない。
ある親友にお願いしたら、「代わりに買ってきてあげる。」と言ってくれた。

仕事で忙しくて時間がなかなか取れないのに、この猛暑の中、わざわざ買ってきてくれて、本当にありがとう。



手元に届いたリストバンドを、早速、プレゼントした。
その人が一言。
「これで、繋がっていられるよね。ずっと。」

たかが、単なる1つのリストバンド。
着けてたからって、病が治る訳じゃない。
人によっては、「ランス・アームストロング? LIVESTRONG? なにそれ。」となるかもしれない。



繋がり方にもいろんな方法がある。
私は、このリストバンドの意味は、その人がつければいいと思ってる。
別に、「常に強く生きようぜ!」なんて、これっぽっちも思ってない。

泣きたくなるぐらい弱っちい自分がここまで、これたのは、これのおかげでもある。
そこに言葉が無くても、私は、このモノに意味を込め、身につけることで、
今この瞬間、今ここに生きている。そう。確かに言えることは、「私は今、生きている。」ということ。

生きててなんぼ。
いろいろあるさ。
・・・・・一緒に、この1秒、次の1秒を生きようぜ。

100726 | live. | comments (5)

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